バレンシアからアンダルシア州に入った。
まず「白い村」ミハスを訪ねた。のんびりした観光の町です。
グラナダでは新築で無人の住居群が数多く見られた。巨額投資の後にバブルが破裂した典型的な光景である。
おそらく同様の住居群が主要都市で見られるのだろう。これらの投資は地方自治体のサポートによってなされたものであるが、この結果多くの自治体は財政難に陥った。特に小さな町は資金調達の方法が無くとんでもない方法にまで手を出そうとしている。
たとえば、3月1日付けのANSAmedの記事によれば[1]、カタルニア地方タラゴナ県ラスケラ町議会は、バルセロナ大麻消費組合(ABCDA)に土地を貸与し大麻を栽培することを認める規定を承認した。交換条件として40名の雇用と町の負債約1.3百万ユーロを二年間で解消する。
ラスケラ町は陶器で有名な人口約900人の小さな町だが、雇用の減少と負債に苦しみ今回の決定に至った。決議は賛成4名、反対3名の僅差で議会を通過した。
バルセロナ大麻消費組合は、自己栽培した大麻をレクリエーションと治療目的に消費する団体で所属メンバーは約5000名。反対派の議員は、「確かに画期的な判断だが、この決議は合法と非合法のボーダーライン上にある。」としている。
スペインにはABCDAと同様の団体が約150あり、今回の決定に興味を示しているところもある。ラスケラは特殊な例だと思われるが、地方自治体の財政難はかなり厳しい状態にあるようだ。
楠によれば1978年に公共支出に占める地方政府(自治州と市町村)の割合は10%弱だったが、近年は50%まで上昇した。
スペイン中央銀行総裁は「自治州が財政強化プログラムの遂行を危うくする」と警鐘を鳴らしている[2]。
日本では夕張市の破綻が有名だが、他にも財政再建都市という名前がつき、過剰負債が原因で再生が困難な市町村が目白押しだ。これもバブル崩壊の残滓である。
コルドバは約1,000年前は人口約45万人を誇る世界有数の都市だったが、レコンキスタでムスリムからカトリックに変わったときにユダヤ人を追ったこともあり産業の輝きを失った。
当地のガイドの話では今でもユダヤ人はゼロだ。スペイン全土でもユダヤ人は少ないようで、ガイドの推測では5万人くらいではないか?と言っていた。
[1] ANSAmed 2012/3/1 Spain:Municipality relies on cannabis to get out of crisis Rasquera says yes to plantation to settle debts
[2] 楠 前掲書 p246