• 定年男子のランとマネー

エンディングノートや遺言の話をすると、お互いの年代にもよりますが「まだ早い」などと言って話題を変えてしまう人がいますね。

自分が死ぬことを考えるのは誰しも嫌なものですが、僕の過去のブログで「死ぬこと」について書いたことがありますのでご紹介します。

銀行に勤めていたころに、お客様の葬式があると、まず浮かんだのは「相続は大丈夫かな?」ということでした。

企業経営者なら企業の承継の手続き、個人なら銀行でお預かりしている資産の管理などが関心事になりました。

当時は信託銀行と連携して遺言信託という商品を紹介していたのですが、手数料や遺言保管料が高くて気軽に利用できませんでした。

ところが2020年7月10日から、法務局で遺言を預かってくれる制度が開始されました。

費用は3900円です。(ほかにも規定がありますので、関心のある方はご自身でお調べください)

今回の新制度をどれくらいの人が知っていて、かつ利用するかは未知数ですが、手数料は値段的にはフツーの人にも手が届く金額です。

よく聞く話だと、相続が争族になるのは、必ずしも富裕層の話ではなくて、遺産額が不動産も含めて数千万円くらいの家族が多いそうですから、新制度の活用が進んで諍いが少しでも少なくなればいいのになあ・・と思います。

遺言書は遺産の分配が主な目的ですので、書いてあることは法律に則ったことだけです。

曰く、不動産については住所・面積・地目・地積・・・家屋については、住所・一階面積・二階面積・・などなど。

でも遺族としては、このほかにも知っておきたいことがあります。

例えば、意識不明となった時の延命処置の可否や、認知症になった時の介護の希望などでしょうか?

遺言書でカバーしきれない部分を書いておくために、あらかじめエンディングノートを残しておくという方法もありますね。

個人の財産の一覧とその分配の他に、遺族が自分の死後に困らないように、例えばネット証券などのIDやパスワード、キャッシュカードなどの暗証番号を伝えておくことから始まって、出生後の自分の遍歴(本籍地が度々変わっていれば、相続のために各地の役所から戸籍謄本を取り寄せる必要があります)を記すことや、自分の死後に連絡が必要なところや(もとの勤務先の退職者の会など)、連絡してほしい親戚・知人・友人のリストなどを書き残しておくと残された遺族は助かるでしょうね。

エンディングノートには法的な縛りがないので、残された人への自分の気持ちや自分史を書き残すこともできます。

遺族や友人に、自分のことを記憶にとどめてもらいたいという思いを込めることも可能です。

ところで、ここまでは亡くなる側の人の話ですが、これを受け取る側の思いはどうでしょうね。

IDやパスワード、個人の生い立ちなどの情報はとても助かると思います。

ただ、僕の個人的な経験から考えると、故人の希望は遺族にとっては故人を偲ぶ上で懐かしくて嬉しいとともに、戸惑う部分もあるような気がします。

例えばお葬式のやり方について書かれている場合、ご本人は同居家族だけのシンプルな葬儀を望んで遺志に従ったけれど、故人と親しかったと自認する親戚や友人に「なぜ自分に知らせてくれなかったのか?」と不快感を表明されることもあるでしょう。

それが原因で親戚などと疎遠になってしまって、残された配偶者や子どもたちが困惑することも無くはないでしょう。

自分の死後については、なかなか家族と面と向かって話しにくいものですが、FPの視点から考えれば、是非ライフプランを活用して頂きたいですね。

現時点から、自分と配偶者が亡くなるくらいまでのライフプランを作成して、できれば家族でプランの変更を話し合う機会を設けることができれば、自分・配偶者・子どもたちの、それぞれの将来への考え方を知ることができるし、話し合いの過程で自身の考えや思いを直接・間接に家族に伝えておけるのではないかと思います。

配偶者や親が亡くなったあとに、エンディングノートを読んで、故人の想いが分かって印象深いこともあると思います。

でも「もっと早く知っておきたかった」ということも多いでしょう。

「死んでからこんなことを言われてもなあ」ということもあるかと思います。

もしライフプランに基づいて話し合った結果を、遺言書やエンディングノートに書いておけば、残された遺族も戸惑いや感情の祖語が少なくて済むでしょうし、あとからやや自己中心的な親族や友人が現れたときにも、故人の遺志をはっきりと説明できると思います。

人は亡くなってからも、残った人々の記憶の中で生き続けるものです。

できれば良い思い出として記憶してもらえれば、亡くなった方にも残された方にも、そして第三者という世間にも「三方よし」ではないでしょうか?



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