現在、大阪府市の仕事で、海外を含む金融関連企業の誘致窓口を担当しています。
(バイトです 笑)
2021年12月に始めたので、すでに3年半が経過しました。
オフィスの開設当初から現在まで、相談窓口で対応する企業のほとんどは、スタートアップを含む、いわゆるフィンテック企業です。
当時は、WEB3が持てはやされていて、ブロックチェイン技術を基盤にした、メタバース空間でビジネスを行うとか、スマートコントラクト技術を基にして作成したNFTの価値が高騰し、一種バブルになっていたころです。
ところが、今朝の日本経済新聞記事を読むと、今やNFTバブルはあえなく弾けてしまったようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23C6H0T20C25A4000000
(出典:2025/4/28 日本経済新聞電子版)
NFTのあとに勢いをつけていたのが、暗号通貨です。
暗号通貨で最もよく知られているのはビットコインですね。
しかしビットコインのほかにも、星の数ほど(というのは大げさですが)沢山の暗号通貨が
存在します。
しかし暗号通貨の大きな特徴は、価格が不安定なこと。
最近のビットコインの価格の動きはこのようになっています。
暗号通貨は、一時期低調だったのですが、トランプ大統領の後押しチックな発言で、価格が吹きあがりました。
しかしそのすぐ後で、同じくトランプ大統領の高関税旋風に翻弄されて、世界経済の
景気後退懸念が高まって価格が急低下。
直近では、何故か再び上昇気味です。
これでは資産運用に使うのは難しいので、価格が不安定な暗号通貨を安定させるために、
現在はステーブルコインが注目を集めています。
近いうちに、ステーブルコインの発行とマーケットメイクについての動きを見ることが
出来るかもしれません。
動きが速くて、価格が不安定な暗号通貨よりも、最近の相談企業の特徴は、AIを使った
事業展開です。
AIに関して言えば、私が大学院で情報学を学んだ時の専攻がデータベースだったので、
修士論文は自分で作った小さなデータベースを、解析ソフトを使って分析することで
提出しました。
というわけもあって、ビッグデータを基盤にするAIについては、なんとなくイメージを持っていました。
ところが最近は、単なるAIが、生成AIに大進化を遂げており、バイトで海外の事業者の話を聞いて理解しなければならないので、生成AIについて学習したほうが良さそうに思えました。
そこで選んだのが、今井翔太著「生成AIで世界はこう変わる」(SB新書)
今井氏は1994年生まれで、元ゲーマー。
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻松尾研究室所属の博士です。
経歴を見るからに「それっぽい」ので、早速本を買って読んでみました。
まずAIブームについて、簡単にまとめます。
第一次ブームのはじまりは、1956年です。
「計算機に知能を持たせることができるのでは?」というところがスタートです。
このブームは1970年ごろまで続きました。
初期のAIの得意技は「探索と推論」です。
この形の完成形が、時期はズレますが、AI「ディープブルー」が1997年に当時のチェスのチャンピオンに勝ったことですね。
第二次ブームは、1980年から90年ごろです。
この時は、人間がもつ「知識」をひたすらAIに詰め込めば、人間レベルに賢いAIができるはず・・という想定でした。
しかし「知識」に限度がなく、「知識」相互で矛盾することも多いので頓挫。
第三次ブームは2012年ごろからです。
第三次ブームでは、大量のデータを与えながら、機械が自動的に問題の解き方を学習する
「機械学習」アプローチが中心でした。
つまり人間の脳のように、情報ネットワークの中で、大量のデータの処理方法をAIが学習していくことで、問題の解き方が深化していくのです。
(私が大学院で学んだのは、この頃の知識でした)
そして2023年の生成AIも登場により、(多分)第四次ブームが始まります。
これは、機械の学習スタイルが、人間が教える「教師あり学習」(第三次ブーム)から
機械が機械を教える「自己教師あり学習」に進化したものです。
では、第三次ブームまでのAIと第四次ブームの生成AIはどこが違うのでしょうか?
これに関して、今井さんの本を読んで面白かったのは、第三章で「未来の仕事」について書かれてある部分です。
簡単に纏めると、産業革命を始めとする過去の機械化は、人間が行う定型的な作業を
機械に置き換えるということでした。
AIについても、これと同じ考え方ですが、産業革命と異なるのは、「定型的作業」に加えて
一部の「非定型的作業」もAIが対応できるのではないかということでした。
2013年のディープラーニング登場時に発表された論文では、「特別なスキルを必要としない賃金が低い仕事であるほど、AIによる自動化の影響御受ける可能性が高い」
例えれば、不動産の審査や銀行の窓口など、定型的なしごとですね。
逆に現場監督者や危機管理責任者など、高度な判断とスキルを必要とする仕事は、AIの影響を受けにくいとされていました。
ところが、2023年の論文では、生成AIの影響を受けるのは「高学歴で高いスキルを
身に着けたものが就くような賃金の高い職業であるほど、生成AIによる自動化の影響を受ける可能性が高い。但し、本当に習得に時間がかかる高度なスキルが必要とされる職業に
関してはその限りでない」に変わりました。
ここでは、通訳・翻訳家、詩人、作詞家、クリエイティブライターなどが生成AIの影響を
受けやすく、農業機械操作者、アスリート、料理人などが影響を受けにくいとされています。
つまり、AIにできることとできないことの前提が、生成AIの登場で逆転してしまったわけです。
超簡単に言えば、生成AIは人類の過去の知恵の集積から新しいことを生み出すのですが、
人類が行動する際に頭を使っていないこと、例えば「服を畳む」「箸で料理をつまむ」「散らかった部屋を移動する」などを機械自身がプログラミングすることは、現在ではまず不可能なのです。
このような話も、これから第五次ブームが到来したら、また変わってしまうかもしれません。
私の希望としては、AIの変化を追いかけるのが大変なので、第五次ブームが来る前に、現在のバイトを引退して、後進に道を譲りたいと願っています。笑