• 定年男子のランとマネー

バイトの関係で読んだ本が、参考になりそうなので、内容を簡単にまとめてみました。

書籍名は、伊藤祐一郎著「エンベデッドファイナンス」です。

<背景>

21世紀になり、巨大なシステムを導入した金融機関は、ある意味で成熟期に入り、大手金融機関はどこも同じような価格体系と機能を提供することとなって、差別化が難しくなった。その結果、テレビCMや比較サイトなどを通じて、顧客の獲得に巨額の広告費がかかることになった。つまり顧客一人当たりの収益を為の上げるコストが、大きくなっている。また、新しいサービスを提供するに際して、システムが巨大かつ複雑なために、細かなニーズに対応するための費用が巨額化して実質不可能になっている。

<組み込み金融とは>

これまで金融業界とは縁のなかったが、自社で十分な顧客基盤を持つ企業が、金融サービスを提供し始めている。自社の既存サービス内に金融機能を組み込んで、顧客にスムースな利用を提供することが、2020年前後から開始されている。

尚、組み込み金融は生活に点在する様々な小さなニーズに対応するサービスだが、これを

利用者の視点から非金融サービスの中に金融サービスが組み込まれたものをエンベデッドファイナンスとよび、事業者の観点からエンベデッドファイナンスを実現するために金融機能を事業者に提供することをBaaS(Banking as a Service)と呼ぶ。(ただし中身は同じ)

また、組み込み金融は、金融業界全体が垂直統合から水平統合へ移行するパラダイムシフトの一環として認識される。

<組み込み金融の3要素>

1.ブランド(例:アップル)

  顧客との直接的な接点を持ち、アプリやウェブサービスを通じて包括的な顧客体験を設計・提供

  する。(アップルペイ、アップルキャッシュ、アップルカード等)

2.イネイブラー

  ブランドとライセンスホルダーをつなぐ中間役で、APIプラットフォームを通じて

  複数の金融機能をサービスとして提供。ブランドは独自のシステム開発やライセンス

  登録が不要になる。また、後述のライセンスホルダーから求められるコンプライアンス

  要件を遵守することを支援。(フィンテック企業)

3.ライセンスホルダー

  金融ライセンスを保有し、実際の金融商品やサービスを組成し、法的にはライセンス

ホルダーのサービスをブランドが提供する形をとる。また、金融リスク管理、コンプライアンス等、金融機関としての役割を果たし、ブランドやイネイブラーがサービスの

開発・運用に注力することを可能にする。(ゴールドマン・サックス)

<地域別の役割分担>

  • 中国・東南アジア

スーパーアプリが主導。アリペイ、ウィーチャットなどがブランド以下の3役を兼ねる。

  • アメリカ

3役は分業体制。Shopify(ブランド)―Stripe(イネイブラー)―Evolve Bank(ライセンスホルダー)⇒金融ライセンスを持つ、中小金融機関のビジネスチャンス

  • 日本・ヨーロッパ

ブランドを立て、イネイブラーがライセンスホルダーを兼務。住信SBIネット銀行が

ライセンスホルダーとイネイブラーを兼ね、20社弱とパートナー契約を結ぶ。例えば、

ブランド向けに日本航空、ヤマダデンキなどにサービスを提供。

<組み込み金融の3つの潮流>

  • 金融のオンライン化

2000年ごろからの変化。金融の対面型サービスからウェブベースのサービスへ。

  • 金融のモバイル化

スマートフォンの普及(2007年iPhone発売)。さらにリーマン危機による既存金融機関への顧客の不信に対して、規制強化で新しいサービスが提供できない金融機関の間隙を縫って、フィンテック企業が(機能を絞り込んだ)モバイルサービスを顧客に提供。これにより、既存金融機関が提供していた一括サービス(バンドリングサービス)から、機能別サービスへの分化(アンバンドリングサービス)に移行。

  • リバンドリングサービス

2015年以降、顧客が利用する平均サービス数の増加に伴い、利便性を求めて、再度サービスの統合化が進行。

<3つのテクノロジー>

  • API

低コストでリアルタイム連携が可能となる。重要な6要素は下記。

①通信経路 ②通信プロトコル ③データフォーマット ④データの暗号化

⑤認証方式 ⑥通信の方向

APIの登場によりライセンスホルダーとブランド間のデータ連携が革命的に進歩

  • モジュール化

大規模で複雑なアプリケーションを機能的に独立した小規模なコンポーネントに

分割する設計手法。マイクロサービスアーキテクチャ。

  • クラウドプラットフォーム

インターネットを介して計算リソース、ストレージ、データベースなどのIT

インフラストラクチャーを提供するサービス。例:AWS

<感想>

現在は「国際金融都市大阪」プログラムに一端に関わっていて、大阪に金融エコシステムを造るにはどうすればよいのかを考える機会があったので、書籍を探してみました。

国際金融都市になるためのプランニングと推進は大阪府市の仕事なので、私には

直接の関係は無いのですが、せっかく携わっている仕事なので、考えてみたわけです。

今のところの考えでは、金融ライセンスを持つ地域金融機関(地銀や信金など)を

ライセンスホルダーとして、技術力を持つフィンテック企業をイネイブラーに充てて、

「これぞ大阪」というブランド企業を表に掲げてビジネスを展開できれば、「組み込み金融」として可能性が出てくるかな?と思っています。

この話を、試しに大阪府市の担当者にしてみたら、「否定はしないけど、無理!」と言われました 苦笑

しかし正攻法でやっても、簡単に国際金融都市にはなれないので、無理筋の話でも

やってみたらよいのに、と思いますけどね。笑


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