• 定年男子のランとマネー

セビリア

次の訪問地セビリアでは大聖堂を見学した。

世界3大聖堂としてバチカンのサン・ピエトロ寺院、ロンドンのウェストミンスター寺院と並び称される大寺院だ。

そこで聞いたのは、1995年にカルロスの長女エレナが結婚式を挙げたが、後に離婚したという話だ。

カルロスとソフィアの冷たい関係、長女エレナの離婚、次女クリスティーナ夫妻のトラブルと長男フェリペ王子の妻が離婚経験のある新聞記者と揃うことで、セビリアのガイドは「スペイン人は王室への尊敬を喪っている。もしフェリペが離婚でもしたら王室は終わりだ」と言っていた。

マドリードでこの話をすると、別のガイドは「王室が無くなるなどあり得ない。でも王室が信頼を喪失していることは確かだ」と不本意そうに認めた。カトリックの国で王室のメンバーすべてが婚姻に関する問題を抱えていることになる。

「スペインの民主化移行期」を通じて王室を象徴化したことへの30年後の歴史の回答はカルロスにとりあまり芳しいとは言えない。

セビリア大聖堂にはコロンブスの墓がある。

当時のスペインを支えた4つの王国であるカスティーリャ・アラゴン・ナバラ・レオンの王たちがコロンブスの棺を担ぐ像が置かれている。コロンブスがスペインにもたらした恩恵への敬意を表しているものだ。

この4つの王国の紋章を組み合わせたものが現在のスペイン王国の紋章だ。ここにはバスク・カタルニアはもちろんアンダルシアも含まれていない。

これらの地域がフランコ時代の抑圧に対して強い自治権を要求し、新憲法で大幅な自治権が認められたことになる。

大聖堂の後、スペイン広場へ向かう。映画「スターウオーズ」の撮影にも使われたこの広場は、当時新大陸貿易を独占したスペインの栄華を偲ばせるには十分なほど広大である。

新大陸からもたらされた巨大な富は、産業育成等には使われずもっぱら戦争と贅沢に使われた。フェリペ2世が、巨万の富を得ながら在世中に三度の国家破産宣言をだしたのはそのためである。

戸門はEU加盟後のスペインが「欧州における外国資本の草刈り場」と言われるほど激しいM&Aの舞台になったことに触れて、スペインの経営者の「外資に対抗して何とか民族資本を育てていこうという姿勢の欠如」を指摘している。

企業売却によって巨額の富が得られるならば、経営権を外国企業に譲っても気にしないメンタリティーを、アンダルシアの大手ビール会社クルスカンポ社が欧州の巨人ギネス社に1990年に買収されたことを例に挙げ、70年代の日本の経営者と比較して嘆いている[1]

[1] 戸門 前掲書pp190-191



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