ある大学のシニアコースで、米中関係について授業を受け持っている関係もあり、中国に関するニュースや分析には、比較的関心を持っている。
高市首相の台湾発言依頼、日中関係に緊張が続いていることもあって、中国に関する考えをまとめておきたい。
中国に関しての私の関心事は、大きく軍事面と経済面に分けられる。
最初に、軍事面については、台湾進攻問題が挙げられる。
1月に発表された、張又侠中国共産党軍事委員会副主席の粛清によって、軍事委員会は定員7名のうち5名が空席となった。
残った2名のうちの1名は習近平で、もう一人は規律委員会の人。
つまり人民解放軍を指揮できる人がいなくなってしまった。
中国全体の軍隊組織が骨抜きになったと考えれば、新しく組織の骨格から作っていくためには数年間が必要だろう。
つまり、少なくとも数年間は台湾侵攻ができない。
しかし、(面子の問題もあり)中国つまり習近平は、いつでも侵攻可能との姿勢を強く示すための威嚇は継続するだろう。むしろ強める可能性が高い。
もしも高市政権が長期化することになれば、軍事的緊張は強まっても、弱まることはない。
今の状況が、「新しい普通」となり、日中友好の時代には戻らないだろう。
次に経済面だが、私の関心事は中国のデフレだ。
不動産バブルの崩壊を契機にして、現在の中国はデフレに突入している。
問題は、中国政府が不動産問題の解決に力を入れないで、需要喚起ではなくもっぱら供給を強化する政策を推進していることだ。
供給重視の経済政策は、国内需要を越えた過剰生産から過剰輸出を生み、そして大幅貿易黒字が生じる。つまりデフレの輸出だ。
何故不動産問題を解決しないかというと、おそらく共産主義の基本である計画経済から
考えて、例えば「家は住むもので、安ければ庶民が買えるので良い」とか「日本のバブル崩壊では、金融システムが破損したが、中国は金融機関が健全だから大丈夫」といった、民間の消費心理を重視する資本主義とは異なった経済の考えがあると思う。
デフレが続くと、一般的に経済が拡大成長しないので、中国政府が掲げる5%の経済成長の達成が難しくなる。
中国政府発表の2025年の経済成長は、ちょうど5%だったが、これを奇跡と呼ぶ人と、今の政治の状況下で5%達成できない方が奇跡だという人がいる。
いずれも発表が噓の数字だと言っているわけだが、軍事に限らず、習近平の地位を脅かす者は、すべて失脚し粛清されるということが明確になってくると、習近平の意に沿わないことを発表する勇気のある人はいなくなる。
私は独裁者になったことがないので、推測するしかないのだが、人間は最初のころは周囲の人間と協力して仕事をするが、地位が上がると閥を作り出す。
自分の閥がライバルたちを圧倒して権力を握ると、今度は自分の閥内で、これまで助けてくれた、ライバルになりそうな人を排除しだす。
つまり、三角形のピラミッド型で自分を支えていた組織が、最終的に自分が一強の鍋蓋みたいな組織に変える。
習近平の場合、もしも張又侠粛清が最終段階で、これで鍋蓋組織が完成したのであれば、
これからは習近平の本当の孤独と、彼の圧に耐えかねた人たちの反乱へと進む可能性がある。
これからの習近平政権は、「組織の臨界点」に向かって進んでいく。
そして人は孤独になれば健全な判断が出来なくなる上に、健康も害することがある。
習近平は現在72歳。
健全な判断と健康を維持することを期待する。