• 定年男子のランとマネー

今年の4月ごろから、FIWA(みんなのお金のアドバイザー協会 理事長:岡本和久氏、副理事長:岩城みずほ氏)の会員にしていただいて、月に一度のサムライズ勉強会に参加しています。

勉強会は、資産形成を中心に毎回力の入ったテーマを深堀して講演いただくのですが、9月初めのゼミナーの事前課題が印象的だったので、少しご紹介します。

講演のテーマは「公的年金保険 真実のメドレー♪」と題して、慶應義塾大学の権丈教授と高橋義憲さん、尾崎哲郎さんの三方が公的年金保険について、参加者の理解度に基づいて誤解を正していくというストーリーでした。

セミナー前に、コーディネーターの岩城さんから送られてきたメールには、事前課題として

  1. 10個の質問に回答する
  2. 中田敦彦の「YouTube大学 FACTFULNESS」を視聴しておく
  3. 「再分配政策の政治経済学基礎」という権丈先生の記事を読んでおく

この中で一番時間がかかったのがYouTubeの視聴でした。

ご存じオリエンタルラジオの中田あっちゃんが、いつもの熱い調子で延々と「FACTFULNESS」について語るのです。

それがあまりに面白かったので、さっそく書籍を購入してみました。

「FACTFULNESS」の主張は、簡単に言えば、妄言に惑わされずにデータを見て真実を知ろうということなのですが、人の本能を10に分けて、それぞれの本能がどのような誤解を引き起こすかを、データに基づいて検証しています。

その本能とは;

分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能です。

これらの本能について、ご興味のある方は、是非FACTFULNESSをお読みいただきたいのですが、著者が言いたかったことの一つは、「世の中の人は世界が悪い方向に向いていると思いがちだが、データでみると世界は確実に良い方向に向かっている」ということです。

(中田敦彦YouTube大学を視聴いただくほうが簡単ですけどね 笑)

著者は、全く突飛な話をしているわけではなく、それぞれの設問について、知識程度が一般人より相当程度高い人たちの回答が、何の知識もなくランダムに回答しているチンパンジーよりも、正答率ではるかに劣っていることを具体的に示してくれています。

少し著者ハンス・ロスリングの紹介をしておくと、スゥエーデンの医師、グローバルヘルスの教授、教育者で「国境なき医師団」の創立者です。残念ながら2017年に他界しました。

話をFIWAのセミナーに戻すと、FACTFULNESSのデータを見て真実を判断するという考え方と10の本能を、公的年金保険にまつわる様々な誤解や曲解の解明に当てはめて楽しく解説してくれました。

具体的な誤解や曲解とは、「公的年金は保険であって貯蓄ではない」から始まって、「マクロ経済スライドの意味」「財政検証の意味」「年金積立金の将来の貢献度」「年金保険料の積立方式と賦課方式の違い」「オプション試算とは」などハイレベルなところまで連れていって頂きました。

真面目に予習をしておくと授業の理解度が上がる・・という、トシをとってすっかり忘れていた学生時代の記憶を鮮やかに呼び覚ましてくれたセミナーでした(笑)

尚、FACTFULNESSの著者のハンスは、2017年に他界していますが、書籍の中で世界に起こるかもしれない心配事を5つ挙げています。

「感染症の世界的な流行」・・新種のインフルエンザの流行を危惧していました。

「金融危機」・・金融システムが複雑になりすぎて、誰も危機を予測できなくなった。経済の崩壊や失業の恐れ

「第三次世界大戦」・・「力にものを言わせたプライドの高い国家が、市場での支配力が弱まったときに、他国を攻撃する可能性はある」(303~304ページ)

「地球温暖化」・・「世界に尊重される統治機構が必要になる」(304ページ)

「極度の貧困」・・病気の初期維に対応できる医療サービスの必要性

一年前(2019年)ならば、5つの心配事のいくつかは笑い話や自分には無関係な話題だったかもしれませんが、コロナ禍の中にいる現在では、リアリティを増してきているような気がします。


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