私の子供のころは、社会のいろいろなところに男女差別が見られました。
まだまだ「家」を継承する観念が強かったので、男兄弟では長男が優先され、女の子は
いずれ「家」から出ていくという扱いでした。
しかし、少子化が進み、人口減少が顕著になるにつれて、男性が働き、女性が家庭を守るという図式は、とっくの昔に崩壊しています。
特に、就職氷河期を経て、男女ともに就職難を経験した世代では、経済的自立が難しくて
結果的に独身になった人が増えているようで、男性優位などと言っている余裕は無さそうです。
事程左様に、世間では男女の差別が表面的にはなくなってきています。
しかし、外部から見た日本は、決して男女平等ではありません。
世界経済フォーラムが算出したジェンダー・ギャップ指数によれば、日本は146か国中
118位です。
内容を見ると、政治参画が特に低くて、次が経済参画です。
女性の側からの見方は分からないのですが、私が男女の違いが良く現れると感じるのは、
結婚の時ではないかと思います。
結婚すると、姓を同一にせねばならないので、普通は女性が改姓して男性の姓に合わせます。
逆の場合は、男性が女性の「家」に婿入りする(=養子になる)という意味合いが強くなります。
現代の若者には、あまり抵抗が無いのかもしれませんが、男性が女性の姓に変えることは
我々の世代には大きな抵抗があります。
では女性側に抵抗がないのかというと、周囲に事実婚を選んだ女性が少数ながら存在するので、全く抵抗ないとは言えなさそうです。
第一、仕事をしている女性が、キャリアの途中で改姓することは仕事上不便です。
女性は「通称」を使えばよいと言う人がいますが、結婚後も従来の姓で良ければ、通称を使う必要は
ありません。
たとえ、離婚しても、姓が同じならば、社会生活への影響は最小限で済むと思います。
同じような問題に天皇家の性があります。
国連の委員会が日本に対して、皇室典範改正を勧告しています。
皇位の男系継承は女性差別だというのです。
これに対して、外務省は下記の反論をしています。
『外務省の北村外務報道官は、記者会見で「皇位につく資格は基本的人権に含まれていないことから、皇位継承の資格が男系男子に限定されていることは、女子に対する差別には該当しない。皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項で、委員会で皇室典範を取り上げることは適当ではない」と指摘しました。』
(出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250129/k10014707141000.html 2025/2/3閲覧)
私は憲法学者ではないので、日本国憲法と皇室典範について論じる知見はありませんが、
選択的夫婦別姓や皇室典範改正への(一般国民の常識を超えた?)根強い反対は、何処に
どのような理由が存在するのかと考えてしまいます。
例えば、皇室典範改正に根強く反対する人たちは、皇室そのものを大切に思っているようには思えません。
何故なら、皇室典範を改正して皇位継承順位のある皇族を増やさなければ、このままでは
いずれ皇室そのものが消滅してしまう可能性は高いからです。
皇統を継ぐ人がいなくなったら、皇室典範の存在意義はなく、日本国憲法も改正せねばならないでしょうね。
そのうえ、例え男系天皇を続けられたとしても、マスコミが伝える雅子皇后や秋篠宮ご一家のニュースを見れば、同じ立場に立ちたい女性は限られるでしょう。
私は、現在の皇族は気の毒だなと感じます。
現在の日本で、生まれながらの基本的人権が認められていなさそうなのは皇族だけと思いますが、幼いころから人権意識に慣れ親しんだ一般国民の中で、人権が認められていないように思える窮屈な(に見える)皇室という世界に入りたい人は、極めて限られるでしょう。
婚姻の結果生まれた嫡出子で男子のみを後継者にすることに拘ることは、極めて細い糸を切れないように注意して手繰っていくことと同じです。
皇室を続けていくならば、政治家が中心になって、天皇の後継者の選択肢を広げる方策を考えるべきだし、女性活用などと言うのであれば、女性が活躍しやすい施策を取るべきです。
これが何故出来ないのかということを、国民の前にはっきり示すことが、政治家とマスコミの責務ではないかと思いますね。